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2004年10月13日
シャトー ロック・ド・ジャンリス 2002
[2002] シャトー・ロック・ド・ジャンリス 750ml
(ボルドー・シューペリウール)
ボルドーを訪れる時、私はいつもガビィさんのオフィスに行く道すがら、今日はどんなサプライズをくれるのか、ワクワクしながら歩いています。今回もそんなワクワク感を120%満足させてくれるステキなワインとの出会いを用意してくれました。 その名はロック・ド・ジャンリス。シャトーのオーナークリストフ・ケペックさんは祖父の代から続くブドウ畑を引き継いだ若きオーナー。 1920年にクリストフ氏の祖父がわずか4ヘクタールの畑にブドウを植えました。このシャトーの始まりです。 その後クリストフ氏の父親にあたるジャン・ジャック氏とその妻アリスさんが13ヘクタールにブドウ畑を拡大。 1997年になり今のオーナー、クリストフ氏に引きつがれました。これまで、一部の共同組合にブドウを販売するだけでしたが、若きオーナーは、特に出来の良かったメルロー種からワインを自分自身で造り出しました。こうしてロック・ド・ジャンリスがこの世に生まれたのです。 創設からのブドウ栽培の伝統はきちんとクリストフ氏に伝わっていて、そこに若き才能と情熱が加わった、素晴らしいワイン。 メンテナンスの行き届いた清潔な畑は彼の愛情が溢れています。年間わずか8000本のこのワインに出会った時、MWガヴィさんの鋭いワインの審美眼がキラリ、と光りました。 なるほどガビィさんが納得したのも頷けます。この6月、店長と社長もクリストフさんとお目にかかって、真面目な好青年ぶりとワインのおいしさに即決で彼のワインを注文しました。 「彼は若くて、熱心で才能溢れる人なのよ。日本のマーケットに進出できることは大きな励みになると思うわ。ね、そうでしょ?」 ガビィさんに、そういわれてクリストフさん、かなり恥ずかしそうに、でもすごく嬉しそうに笑顔で答えてくれました。
ボルドーは白ワインの産地として有名なアントル・ド・メール。 そこにローザンという小さな村があるのですが、この地がワイン専門家の間でちょっとしたブームになっているそうなんです。 ご紹介するワインはこの地で作られたワイン『シャトー・ロック・ド・ジャンリス』。 この村には12世紀に建てられた要塞のような城があり、国から歴史的建造物に指定をされています。 こうした建物は決まって高台にあり、他のアントル・ド・メーヌの土壌とは明らかに異なる土壌を持ち合せており、このシャトーが所有する1.5ヘクタールの畑では例外ではありません。 この土地は表土が少なくすぐに石灰岩の塊が現れる特殊な土壌になっており、この土壌は ドルドーニュ河を挟んだ対岸のサンテミリオンのコート地区の土壌に通じるものがあるために高品質のワインを生み出すことが可能だそうです。 実際にサンテミリオンやポムロールの有名な一部のシャトーオーナーや醸造家はこの地に 注目を寄せており、特にケベック家が所有するこのシャトー・ロック・ド・ジャンリスの 畑をほしがっているそうです。 元々ケベック家はぶどう農家で元詰めは行っておらず、ワインを樽ごとネゴシアンに販売をしていたのですが、地元でも彼のワインは評判が高く、それならばということで2000年 から初めてボトリングを開始。
オーナーのクリストフ・ケベック氏は父の代から受け継いだ1.5ヘクタールの畑にメルロー だけを栽培し、徹底した収穫量の制限を行い、作業はもちろん全て手作業で行われます。 そして十分な完熟を得るために近隣の生産者よりも2週間ほど収穫を遅らせ、十分な糖度を 得ています。 また醸造は非常に滑らかできめ細かいタンニンを摘出するために低温で長時間、皮と種を 接触させ、一部は最高級オーク樽の生産者の一つであるダルナージュ社からの新樽を使い 12ヶ月熟成。その後ボトリングが行われます。 その味わいは非常にふくよかな果実香とシナモンやアーモンド、ハーブなどの香りが感じられ、味わいは口いっぱいに広がる果実風味と滑らかなタンニンとが見事に調和されており、余韻に広がる複雑な香りはなんともいえません。 年間で8000本のワインを生産していますが、すでにプリムールの試飲会でサンテミリオン やポムロールのトップクラスのワインと肩を並べるほどの高い評価を受けています。 しかも価格は非常にリーズナブルとお値打ちのワインです。 AOCこそボルドー・シューペリュールですがその味わいはそれをはるかに超えるものです。 ぜひ一度このワインをお試しになってみませんか。
1920年にクリストフの祖父が4haの畑にブドウを植えたことに始まる。1975年、後を継いだ息子のジャンジャック(クリストフの父親)は畑を13haに拡大し、現在の礎を築いた。そして2000年、3代目のクリストフがシャトーの運営を任されると、この時までブドウを全て協同組合に販売するだけだったのが、満を持して、13haの畑の中で出来の良かった1.5ha分のメルロ種から僅か8000本のワインを造り出した。そのファーストビンテージワインは、品質の高さも手伝い瞬く間に現地完売し、生産量の少なさから知る人ぞ知る隠れた名酒となっている。現在、2000年にミッシェル・ロランがコンサルタントを抜けたものの、ワインの品質は年々着実に向上しており、将来が期待されている。ただ、残念なことにこのシャトーの樽熟成をしたワインは、2003年ワインから全てボルドーのネゴシアンに販売する契約が結ばれたため、このエチケットで販売されるのは2002年が最後となった。
投稿者 saikawa : 2004年10月13日 20:03
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